年賀状に欠かせないのは、手書きのご挨拶。絵柄や賀詞が印刷の場合、送り手の込めた思いを伝える主役です。そんな大切なメッセージを書く道具には、何を選べば良いのでしょうか?
マナーを踏まえた筆記用具の選び方と、はがきの用紙とペンの種類の相性についてご紹介します。
年賀状に使う筆記用具にマナーはあるの?
年賀状を書くときに使う文房具にもマナーはあるのか、改めて考えてみると難しいところです。筆や筆ペンが一番しっくりくる気がしますが、ペン書きも珍しくはありません。写真タイプの紙は光沢が強く、マナーよりも字が消えないことが優先になる場合も。
このような状況の中、年賀状に使う筆記用具を選ぶために覚えておきたいのは、慶事には「濃く太く」が縁起が良いとされていることです。幸せが太く長く続くようにとの願いが込められています。反対に弔事では薄く、細く書かれます。
「濃く太く」を基準に考えると、毛筆や筆ペンが一番適切に感じられる一方で、ボールペンの利用をためらう理由が理解できます。ボールペンの字は細くて貧相に見えてしまうのですね。では、サインペンなど、その他の筆記用具はどうでしょうか。一覧で見てみましょう。
筆、筆ペン
以前は年賀状は、必ず毛筆で書かなければ失礼とされていました。最近ではそれほど厳密ではなくなっているものの、毛筆が一番好ましいことは確かです。
習字に馴染みのない方や毛筆は面倒だという方におすすめなのが、筆ペンです。書き心地がサインペンに近い筆先が固めのタイプもあれば、筆に近い柔らかいものもあり、選択肢が豊富です。自分に合う書きやすいものを見つければ、思ったより手軽に筆文字の年賀状が書けるかもしれません。
サインペン
フェルトペンやマジック、マーカーとも呼ばれます。ペン先にフェルトを使っていて、太めの柔らかい文字が書けます。文字に強弱が付けられる良さはあるものの、細かい文字が書きづらいところがデメリットです。
万年筆
万年筆は正式な手紙に用いられる筆記用具とされ、年賀状にも適しています。年配の方には好印象でしょう。ただし、ペン先によっては非常に細い字となるものもあるため、試し書きをして確認してから使いましょう。
また、万年筆には高級な文房具のイメージがありますが、意外にも千円以下の手ごろな商品も数多く出回っています。
ボールペン
文房具の中でも悩ましいのが、ボールペンです。「濃く太く」の原則に照らし合わせても、普段使いの筆記用具だということでも、良いチョイスとは言い難いのが現実です。最近の傾向としては、上司や目上の方にはボールペンは避け、友人や家族などの親しい間柄ではボールペンで書く方が多いようです。
年賀状の修正はNG
筆記用具のマナーとして忘れてはならないのが、修正をしないことです。修正液も修正テープも、失礼とされています。書き間違えてしまった場合には、新しいはがきを使って書き直します。僅かな失敗のためにもったいないと感じるかもしれませんが、年の初めのご挨拶ですので、礼を尽くすに越したことはありません。
書き間違いを防ぐために、鉛筆で下書きをするのも有効です。文字や表現の間違いだけでなく、配置の確認もできます。
年賀状の用紙とインクの相性
普通紙、インクジェット紙、写真用紙と、年賀状に使われる用紙は色々あります。インクジェット紙に書いたら滲んだ、写真用紙にインクが弾かれたなど、手持ちの筆記用具を何気なく使ったらうまくいかなかった経験がないでしょうか?
用紙と同様にペン先やインクにも種類がたくさんあり、相性がそれぞれに違うのです。用紙のタイプ別に、どのような筆記用具が適しているのかご紹介します。
普通紙
普通紙はがきは、一番筆記用具を選ばない用紙です。相手の方との関係性、文字を書き入れるスペースに従って、お好みの筆記用具をお使いください。
インクジェット紙
インクジェット紙は、インクジェットプリンターでの印刷が綺麗に出るように薬剤でコーティングされた用紙です。サインペンや筆ペンが相性が良いでしょう。
コーティングがペン先に詰まってしまうことがあるため、万年筆は不向きです。ボールペンも、書き進めていくうちにペン先が目詰まりして書けなくなることがありますが、ペン先をティッシュで拭うと復活します。
インクジェット写真用
インクジェット紙より光沢がある写真用のインクジェット紙も、筆記用具はインクジェット紙とほぼ同じ選択で問題ありません。水性ボールペンは字が薄くなってしまうようです。
写真貼り合せタイプ
郵便局で販売されていないタイプの用紙です。銀塩タイプとも呼ばれ、光沢のある写真をはがきに貼り付けたものです。表面がツルツルしているため、綺麗に書ける筆記用具が非常に少ない用紙です。
サインペンを利用するのが確実です。油性のものが速乾性も高く、使いやすいでしょう。年賀状らしい雰囲気を求めるならば、サインペンタイプの筆ペンがお勧めです。水性も油性もありますよ。
ボールペンや普通の筆ペンでも、字が書けているようには見えます。しかしインクが定着していないため、こすると汚くなってしまうので要注意です。
まとめ
年賀状としてのマナーと品位を保ちたいと思いつつも、用紙との相性もあり、なかなか悩ましいのが筆記用具の選択です。両方の条件を満たすペンの種類は多くはないかもしれませんが、それなりの枚数を書くことを思うと、自分に合った書き心地のペンを見つけたいものです。できれば実際に使う用紙をお店に持って行って、試し書きをしてください。ぴったり合うものが見つけられますよ。